新しい川内村の魅力発信
震災復興を願いワインづくりをスタート

らら・カフェ 2021冬号(第57号)/ 2021年12月


▲前方に大滝根山を望む絶景ポイント「高田島ヴィンヤード」

かわうちワイン株式会社  

■福島県双葉郡川内村―福島県の東部・阿武隈高地の中央に位置し、平均標高450mの自然豊かな美しい村として知られています。そこで今、注目されているのが高田島ヴィンヤード(3ヘクタール〈およそ9千坪〉に及ぶブドウ畑)です。2015年、標高750mのこの地で始まったのが、川内村の未来を担うワイン用ブドウの栽培でした。ワインでふるさとの新しい魅力を発信したい… 人びとの思いが詰まった事業が動き出しました。

■2011年、川内村は東日本大震災とそれに続く原発事故によって全村避難となった地域です。当時、川内村の住民はおよそ3千人。隣接する富岡町から避難してきた7千人余りの人たちを村民総出で対応していたといいます。その中でのまさかの全村避難。緊迫した状況の中、3日間で1万人以上が郡山に避難しました。幸い、村内の放射線量が比較的低く推移したこともあり、翌年1月には遠藤雄幸村長の帰村宣言、そしてそこから帰還に向けての準備が始まりました。2016年に避難指示は全面解除されましたが、反面、放射線と言う見えない不安が若者の帰村にブレーキをかけています。現在、村内の居住人口はおよそ2400人余り。しかし、その多くが高齢者というのも現実です。長年、農林畜産業を中心に生活してきた人々にとって、担い手の高齢化は深刻な問題になっています。

■そこで川内村が取り組んだのは、ふるさと創生をかけたさまざまな復興事業です。最新の設備と先端技術による閉鎖型植物工場の誘致、生食用ブドウやイチゴのハウス栽培推進、ミニライスセンターの整備など、若者の雇用創出を考えた新しい取り組みによって、村の活性化につなげようというものでした。

■そしてもう一つ、かわうちワイン開発プロジェクトです。6年前の2015年、川内村が筆頭株主となって設立した「かわうちワイン株式会社」が、高田島ヴィンヤードで収穫したブドウをつかってオリジナルワインを醸造しようというものです。官民一体で取り組む一大事業です。そして2021年10月、新設されたかわうちワイナリー(醸造施設)がいよいよ動き出しました。本格的なワインづくりのはじまりです。


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