心に「愛」の根を育てる 児童養護施設「森の風学園」
園長 熊田富美子さんに聞く

らら・カフェ 2019秋号(第48号)/ 2019年9月

ワクワク、ドキドキで 子どもの夢を育む
生まれてきて良かった… と感じてもらうために
自然豊かな地で「心の原風景」をめざす


 ふとしたことからアフリカ(エチオピア)のボランティア活動に参加した一人の女性 ―― その経験が彼女の人生を変えるきっかけになりました。
 福島県玉川村で児童養護施設「森の風学園」を運営する熊田富美子さん(60歳・社会福祉法人ゆめみの里理事長)は、貧しくとも目をキラキラ輝かせて生きるアフリカの子どもたちと出会い、自分のやりたいことに気づいたと言います。日本で、心の豊かさを失いつつある子どもたちに寄り添う児童養護施設を立ち上げよう… 心を痛め、様々な問題を抱える子どもや、育児に不安を持つ親たちをサポートしよう…と。アフリカで鍛えた頑丈な精神力と経験が彼女の味方になりました。
 今回は、施設立ち上げから5年の経緯と熊田さんの子どもたちへの思いをお聞きします。

―― 森の風学園には、主にどのような子どもたちが入所しているのですか?
熊田:一番多いのは親による虐待です。最近は、子どもの前での夫婦喧嘩や言葉による暴力など精神的な虐待も増えており、育児放棄や暴力などもそれに含まれます。そういう子どもたちは一時的に児童相談所で保護しますが、その後親の状況、親せきや里親などで保護できるかどうかを調べ、受け入れ先の難しい場合のみ児童養護施設に入所させます。森の風学園では現在、4歳から高校4年(通信制)の19歳まで24人の子どもたちが入所しています。
―― そもそも、一番最初に児童養護施設をつくりたいと思ったきっかけは何ですか?
熊田:私は須賀川出身で、親は農業をやっていました。ただ、母親が託児所や保育園をやっていたことや、近所の自立支援事業所から子どもたちが農業の手伝いに来ていたこともあり、私自身、子どもと関わりのある環境は素地としてあったと思います。でも、一番のきっかけはアフリカです。それがなかったら、間違いなく今の私は存在していませんでした。
――アフリカに行くことになったきっかけを聞かせてください 
熊田:新妻香織さんとの出会いです。今から20年前、私はその頃、兄が経営していた幼稚園で事務の手伝いをしたりピアノ教室などをやっていたのですが、ある日幼稚園でヴァイオリンコンサートを主催した際、打ち上げに参加した新妻さんとお会いしました。


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