らら・カフェ 2019夏号(第47号)/ 2019年6月
兵庫と東北 つながってんねん
東日本大震災で被災した女性たちへのメッセージを込めた絵本『兵庫と東北 つながってんねん』は、2015年に兵庫県立男女共同参画センター『イーブン』から発行された。イーブンは、男女が対等にいきいきと暮らせる社会を目指し、女性の就労や子育てなどを支援する機関であるが、東日本大震災以降は、防災や復興がテーマのフォーラムなども開催してきた。また兵庫県内各地や、東北、関東で、被災女性の手作り小物やグループ活動を紹介する巡回展「兵庫と東北 つながっ展」を行ってきたが、この絵本はその一環として制作されたもの。
『つながってんねん』は阪神淡路大震災で被災した“兵庫のおばちゃん”が主人公。「うちらの日常はなくなってん」「何年たっても忘れられへん痛みってあるんや」と、関西弁で思いを語る。
作者の天野勢津子さんは、「兵庫から東北へのエールです。1・17から3・11へ、届けたい気持ちを絵本にした」と話す。当初は天野さんが手作りした絵本を、各地で紹介したところ反響を呼び、当時勤めていたイーブンが300部印刷し、兵庫県内のほか、東北の関係団体や避難所にも配られた。また2015年3月に開催された国連防災世界会議でも展示・配布され、好評を博した。
東日本大震災から8年が過ぎた今も、ふとあの時の出来事を思い出す人も多いだろう。突然に見舞われた災害に、日常のありがたさを感じ、全国からの支援に胸を熱くした経験を持つ人であれば、きっと共感できる内容で、たとえ離れた場所からでも、こうした思いが届けられることに、勇気をもらえるに違いない。
『兵庫と東北 つながってんねん』は、現在もインターネット上で公開され、閲覧することができる。
「兵庫と東北 つながってんねん」 https://amachakoubou.com/186