らら・カフェ 2019春号(第46号)/ 2019年3月
愛知教育大学附属岡崎中学校
2年B組の取り組み
◆はじめに◆
私たち愛知教育大学附属岡崎中学校の2年B組は、東日本大震災から7年以上経過した今なお、福島が風評被害を受けている状況に違和感をもちました。そして、「震災は小学校入学前のことであまり記憶にない。まだ影響はあるのか?」「事実は何か?」「できることはないか?」と、福島から600㎞離れた愛知・岡崎の地で問題解決に臨みました。本稿では、福島・飯舘村での学びを、生徒の声を中心に紹介させていただきます。
私たちの追究の始まりは3種類のお米を食べ比べたことからでした。新潟県産『コシヒカリ』、愛知県産『ミネアサヒ』、福島県産『ミルキークイーン』です。日本一の生産地である新潟県産を選ぶ人が多く、地産地消で愛知県産を選ぶ人もいました。福島県産を選ぶ人は少数でした。しかし、食べた感想は、福島『ミルキークイーン』がダントツ1位。コシと甘みがあり一番美味しかったです。「こんなに美味しいのに選ばないのはおかしい。私たちも知らずのうちに風評の影響を受けているのでは?」「福島の安心は取り戻せるのか?」と、問題解決に動き出しました。
生徒の一人は、福島の食の安全が気になり、愛知県消費者保護センターに取材を行いました。問題は「風評」。これを何とかできれば、安心は取り戻せる!
一方、別の生徒は、避難指示が解除された飯舘村に帰村している人がいることに着目しました。そして、昨年、新たに開校した飯舘村立小学校の校長先生に取材し、「新しい福島をつくっていく気持ちでわくわくしている」という話を聞きました。思っていた以上に福島で暮らしている人は前向きだったのです。そして、私たちと同年代の人は、どんな思いで暮らしているのかが気になり、飯舘中学校の生徒とスカイプで交流することにしました。
岡崎中生徒:病院などの公共施設は、充実していますか。
飯舘中生徒:病院が1軒だけありますが、自動車で1時間かかります。
岡崎中生徒:福島県産の米が業務用で売られたりして、他県の人が福島産だと知らず食べられていることをどう思いますか。
飯舘中生徒:残念だが、わからなくてもうれしい。食べていただけていることがうれしいです。