らら・カフェ 2018秋号(第44号)/ 2018年9 月
福島県立医科大学
ふくしま子ども・女性医療支援センター
全国初… 県内小児科・産婦人科医療のレベルアップと、
専門医の育成・定着を目的とした独自プログラムを支援
――福島に住む女性が、健康で豊かな人生を過ごせるように医療体制を整える
東日本大震災以降、福島県における産婦人科医師の不足が深刻な状況となっている。2016年調査によると、人口10万人当たりの産科医師数は5名(全国46位)と、かなり厳しい。もともと産婦人科医師は、不規則な勤務や訴訟のリスクが高いなどの不安もあり、希望する研修医が少ないという傾向はあったが、なかでも福島県は、震災前から都市圏への医師流出が懸念されるなか、震災・原発事故によってさらに拍車がかかったようだ。
対する出生数の減少も、震災後の落ち込みは徐々に回復してきているが、全国的な少子化の流れもあり、政府レベルでの支援に加えて、県独自の抜本的な対策が期待されている。
そんな中、福島県の要請を受けて設置されたのが、福島県立医科大学の「ふくしま子ども・女性医療支援センター」――福島に住む女性が安心して子どもを産み育てられる医療の整備を目的とし、レベルの高い研修医教育、専門医のキャリアアップと県内定着などを推進しようと、2016年4月から事業を開始した。
県外から各部門トップレベルの指導医を招へいし、実践と教育を通じて子ども・女性医療の水準を上げる
東日本大震災によって発生した原発事故により、福島県での出産・子育てに不安を持つ女性が増えたことは、風評被害も加わり今なお解消されたとはいえないが、幸いにも出生率は徐々に回復の兆しが見えている。しかし、そこで問題になっているのが小児科・産婦人科医師の定数不足。そこで県は、「安心して子どもを産み、育てられる福島県へ」を基本に、周産期医療を中心とし、妊娠する前、妊娠、出産、子どもの成長、女性の生涯にわたる健康を一貫して支えようと、「ふくしま子ども・女性医療支援センター」を開設した。全国から周産期医療を担う人材の招へいと県内への定着、子どもと女性医療のレベルアップに向けた教育支援などを行うのが目的。これは福島県独自、全国初の取り組みでもある。