福島県環境創造センター 交流棟
(コミュタン福島)

らら・カフェ 2016秋号(第36号)/ 2016年9月

福島県環境創造センター 交流棟(コミュタン福島)

ふくしまの未来を創造する「対話と共創の場」


 福島県では、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による環境汚染を回復し、将来にわたって安心して暮らせる環境を創造するために、今年7月、福島県田村郡三春町に「福島県環境創造センター」を開設した。放射線や環境汚染についての本格的な研究、情報収集、研修・交流がひとつになった施設は日本でも唯一のものである。7月23日、24日のグランドオープンイベントでは、科学的な体験イベントや講演、展示、施設見学ツアーなど様々な企画が催された。

4つの機能と役割

 環境創造センターは4つの機能を担っている。
1、モニタリング
2、調査研究
3、情報収集・発信
4、教育・研修・交流
 この4点を、本館、研究棟、交流棟の3棟で担うことになる。本館では、調査・研究、モニタリング、情報収集・発信を行い、研究棟では日本原子力研究開発機構(JAEA)と国立環境研究所が研究を進める。交流棟(愛称コミュタン福島)は一般に公開された施設で、ホール、会議室を有するほか、展示室や「環境創造シアター」で教育・研修・交流を行う。
 今回は一番の見所である交流棟(コミュタン福島)を紹介したい。

対話と共創の場・交流棟

 受付を終えて最初の展示室は、「ふくしまの3・11から」というコーナー。東日本大震災の発生から現在までの歩みを振り返る。右側には2011年だけで壁一面をうめつくす特大年表がある。5年余りも前のことだが、だれもが昨日の事のように記憶しているのではないか。訪れた人はまるで自分史と重ね合わせるようにその年表を眺めていた。最後に掲示しきれない2012年以降がデジタルの液晶画面で表示されているのも、この先まだまだずっとこの年表は続いていくことを示している。
 その向かいには、事故直後の福島第一原子力発電所の状況をミニチュアで再現したものが置いてあり、4基の原子炉の破損具合が、外部からではあるが良く分かる。あらためて事故の深刻さに驚くと同時に、よくここまで細部にわたり再現したものだと感心する。
 入口の左側には映像で振り返るコーナー「ふくしまの歩みシアター」や、新聞記事で振り返るコーナーなどがあり、福島を初めて訪れた当時をよく知らない人は、まずここに来れば時系列で当時からの様子を知ることができる。
 その先は「ふくしまの環境のいま」という展示室になっている。突き当たりには「3・11クロック」があり、2011年3月11日14時46分から刻み始めた時間がデジタル数値で表示されていく。これまで復興に向けて歩んできた時間とこれから創造していく時間を、あらためて冷静に見つめるためのものだろうか… と思いきや、意外と楽しそうにその前で写真を撮る人が多いそうである。
 フロアの右側が「環境“回復”のいま」、左側が「環境“創造”のいま」の各コーナーに分かれて、展示物がある。

 

らら・カフェページへ戻る

続きはこちらよりご購読ください