― 福島〜相馬をつなぐ「命の道」―

らら・カフェ 2016夏号(第35号)/ 2016年6月

福島〜相馬をつなぐ「命の道」

復興支援道路「相馬福島道路」を探る


 はるか頭上を横架する建築中のこの橋は「月舘高架橋(全長462m)」。内陸の福島市と沿岸部の相馬市を結ぶ復興のリーディングプロジェクトと位置づけられる「相馬福島道路」(約45㎞)の橋梁である。正式な名称は「復興支援道路 一般国道115号 相馬福島道路」。工事が進んでいることは知っていても、どれくらいの規模で、どのような経緯で進められている事業なのか、全容を知る人は少ない。その利便性や進捗状況などを、国土交通省 福島河川国道事務所に詳しい話を伺った。
 仕事や観光で相馬~福島間を結ぶ国道115号を走行した人は、その狭い道幅や多数の急カーブに辟易したことも多いだろう。大雨による土砂崩れや落石で通行止めになると、物流や観光、生活面に大きな影響が出た。冬場には積雪により緊急自動車の走行にも支障をきたすこともあった。平成11年度〜平成26年度の過去16年間で15回の全面通行止めが発生している。
 こうした背景の中、平成9年に相馬〜横手(秋田県)間で「東北中央自動車道」が構想されたが、相馬〜福島間は長らく事業化のメドがたっていなかった。平成16年にようやく東北中央自動車道と並行する自動車専用道路として「阿武隈東道路」が、平成20年度に「霊山道路」の事業化が決定した。
 しかし、平成23年、東日本大震災が発生。国道115号は、被害の大きい相馬地区の孤立を救う国道となり、その信頼性や速達性を求める声が高まった。その後、東日本大震災復興構想会議において、沿岸部と東北自動車道をつなぐ横断軸の強化は重点的に進めるべきとの提言を受け、相馬西道路、阿武隈東〜阿武隈間が平成23年度3次補正予算で事業化された。残る霊山IC(仮)から東北自動車道・福島北JCT(仮)間の区間も平成25年度に事業化された。
 それからは、スムーズな用地買収や即年着工で、地元の協力を得ながら急ピッチで推進してきた。

全線開通後の利点

 「相馬福島道路」が完成すれば、それまで通行止めや修復工事に悩まされていたのも回避され、現在76分かかっている福島市飯坂から相馬市までが41分(35分の短縮)になる。さらに、福島~米沢間の「東北中央自動車道」も同時に進められており、すべてが繋がれば、相馬から山形方面へのアクセスが飛躍的に向上する。沿岸部の被災地復興へのスピードアップに繋がると地元の期待は大きい。また、相双医療圏北部の救急医療を担う福島県立医大付属病院への搬送も、20分ほど短縮されより迅速で安全な緊急医療を支援することが可能となる。

 

らら・カフェページへ戻る

続きはこちらよりご購読ください