らら・カフェ 2015夏号(第31号)/ 2015年7月
▲旧広野中学校の校舎を借用して授業がスタート。新しい校舎は平成31年に完成予定。
4月に双葉郡広野町に開校したふたば未来学園高等学校。独自の教育プログラムによって東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの再生を担う人材を育成する目的で新たに創立された。福島県復興のシンボルとなる学校を目指すものとして、県内はもとより、日本全国から注目が集まっている。
各界の第一人者が「ふたばの教育復興応援団」として、特別授業を担当したり、校章や校歌、制服の作成に協力したりすることで、マスコミの話題に上ることも多い。4月8日に挙行された開校式と入学式では、ステージ上で文字を揮毫するパフォーマンスや演舞が披露されるなど、「前例のない」ものとなり、来賓などの関係者が約600人、またテレビや新聞の報道関係者も多く、その関心の高さを示した。
開校直後の4月13日には文部科学大臣が同校を訪問し、15日からは、「ふたばの教育復興応援団」の一人、平田オリザさんによる特別授業も行われたほか、26日にはAKB48のライブも体育館で行われるなど、生徒だけでなく職員にとっても、まさにフル回転でのスタートとなった。
こうした周囲の賑やかさから、さまざまな影響を受けつつも、開校から一ヶ月が過ぎ、漸く「通常の学校生活」が始まった。
学校生活
「一期生152人の内、地元双葉郡出身者は97人です。その内8人は入学を機に県外から戻ってきました。また67人は親元を離れ、寮生活を送っています」。丹野純一校長は、「避難を重ね、自分の居場所がなかった子どももいると思います。そんな子にとって居場所となる学校をつくらなければならないと思います」と話す。
「親元を離れて生活するのは、子どもにとって不安もあります。教職員が協力して寂しい思いをさせないよう気を配っています」
先日は、高体連の選手壮行会が行われたのだが、学校にはまだ応援団がないため、養護の先生が応援団長を買って出たという。
「大きな声で会を盛り上げ、選手達を送り出してくれました。本校の先生方は、ものすごく頑張ってくれています」。
地域の人々からの期待もひしひしと感じられる。「地元の皆さんには生徒達のことを良く見ていただいています。いろいろと声をかけてくださったり、夏には、生徒も参加してのイベントが企画されています」。今後も地域と一緒になって子どもたちを育てていく考えだという。
仮の校舎での開校ということもあり、苦労した点もある。
「当面はこの校舎で授業を行うことになるのですが、中学校の校舎をお借りしていることもあり、高校生に合わせた中身の図書室を整備する必要がありました。司書も配置されておらず、予算も限られた中で、国語科の教諭が中心となってどうしようか考えた末、福島県立図書館に本を貸してもらいたいとかけ合ったところ、ふたば未来学園高校の子どもたちのためにということで、2千冊ほど貸していただけることになりました。副校長、教頭も直接本を取りに行き、車で本を運んだんですよ。その後も、地域の図書ボランティアの方々や他校の司書の方々のご協力を得て、図書室作りを進めています」。