モノを介して東北の力を引き出す…

らら・カフェ 2014秋号(第28号)/ 2014年9月

国道6号から見た風景の写真

都会の販売力を 復興の力に
―― 大型雑貨店 東急ハンズの取り組み


 大都市を中心に大型雑貨店をチェーン展開する東急ハンズは、今年6月中旬から1ヶ月、新宿店二階入り口のイベントスペースにおいて「こけし*とりっぷJapan」を開催した。これは、伝統こけしを中心に、東北の文化を発信しようというもので、単なる物販イベントや催事ではなく、将来に向けた東北の価値を知ってもらう狙いがある。


モノを通して発信

 東急ハンズでは、東日本大震災以降、本社が中心となって被災地でのボランティア活動を行ってきた。NPOを通じ、社員の休暇を利用してツアーを企画するなど、その取り組みは現在も続いている。しかし、震災から3年半が経過し、これまでとは違う支援のあり方として、モノを介して地方の魅力を引き出そうという試みが行われている。


東北の伸びしろ

 新宿店店長の福元和弘氏と、今回のイベントを企画した小笠原知夫氏は、『こけし*とりっぷJapan』を通じて、東北地方が非常に伸びしろの多い場所だと感じたと言う。
 「京都や奈良、富士山などは既に観光地化されていて、そこから発信される情報に目新しさは少ないが、東北にはまだまだ知られていない情報が数多くある。」と小笠原氏は話す。「こけしもその一つ。伝統こけしが十一系統あり、それらすべてが東北であるということも面白い。そしてそれを知っている人は、まだ少ない。今、東北は『復興』を合言葉にがんばっているが、10年後、20年後も『復興』が続く訳ではない。しかし、『こけし』は20年後も30年後もきっと受け継がれているでしょう。その魅力、文化を発信し続けていけば、日本の新しい観光地として「東北」が注目されるようになるのではないか…」と。

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