香りの印刷-インキが香る特殊印刷/ノベルティ・販促品・グッズ

　嗅覚は動物では重要な感覚であり、直接感性に訴える力を持っています。香りや匂いの記憶は、言語を越えたエピソード記憶を蘇らせ、一瞬にして感情を想起させる力があるのです。

　香りの素となる香料には、食品に使われる食品添加物の「フレーバー」とそれ以外に使われる「フレグランス」があります。香料の原料からみると、植物や動物から抽出された「天然香料」と科学的に合成された「合成香料」があり、これらを組み合わせたものは「調合香料」と言われます。
　香料は精油や樹脂として抽出され、水溶性のものとオイル状のものがありますが、いずれも揮発することで香りを伝えることができます。香料が揮発してしまえば、当然ですが香りはしなくなるので、香料の寿命は溶剤によって変わってきます。
　天然香料でも、それを分析していけば主成分である化合物へたどり着きます。果物の香気成分として知られているエステルと呼ばれる化合物は、分子の配列が異なるとさまざまな果物の香りがします。松茸の香り成分もこの仲間です。
　ジャスミンの香りの主成分であるエピジャスモン酸メチルにはある種の昆虫のフェロモン成分を含みます。また植物から抽出されるテルペン類ではレモンの香りやメントールなどミント系の香りが清涼感を感じさせるだけでなく、殺菌効果も併せ持っていることが知られています。楠からとれるショウノウは、防虫剤として強心剤（カンフル）として使われています。
　第一印刷では、それを活用してメントールの原料となるシトロネラ成分を配合した香料を使って「虫除け団扇」を製造したり、さまさまざまな用途を開発しています。香りが人や動物の感情を刺激し、行動を促すのはそのような仕組みがあるからだと言われています。
　それを活用してアロマテラピーのように積極的に香料の可能性を活かしている分野が広まっています。
　香りの印刷は、それらの可能性を活かし新ビジネスチャンスを提供いたします。

　香料を封じ込めたマイクロカプセルが印刷されておりますので、指先で軽く擦るとカプセルが割れて香りが出てきます。香りの保香期間は、保管場所の条件にもよりますが2年程度とされています。 　直射日光や高温多湿を避けた場所で保管した場合、当社では5年経過したものでも充分香りを楽しむことができました。

マイクロカプセルの作り方をご説明します。

１．香料のカプセル化

　乳化分散液と香料を撹拌し、香料の表面に膜（カプセル）を形成します。
　これが香りのマイクロカプセルです。

２．香料インキの製造

　マイクロカプセルを抽出すると写真のような粉末状になり、
　これを元に香料インキが完成します。

マイクロカプセルの大きさは
スクリーン印刷用が約50〜100ミクロン程度、
オフセット印刷用が約3〜5ミクロン程度です。

●嗅覚には個人差がありますので、必ず事前サンプルでご確認いただいております。
●香料インキは印刷インキと香料（マイクロカプセル）のブレンドにより出来上がりますが、インキのワニスや溶剤により、完全にインキ臭を消すことは出来ませんので、香りの種類によりましてはインキ臭の方が目立つ商品もあります。
●在庫がない場合は入荷まで約１ヶ月から１ヶ月半かかります。
●香料インキは無色透明ですが、印刷の仕上がり時は　印刷面がマット状（透明ガラスが少し曇った感じ）になりますので、デザインについてはご注意ください。

●保香期間。
　２年程度。
　・自社商品で検証した結果、保管状況が良ければ４年以上でも香ることが確認できています。
●保管場所。
　気温、湿度に気をつける。
　・一般印刷物同様、高温多湿、直射日光を避けた状態で保管して下さい。
●香り印刷物の取り扱い。
　強くこすり合わせたり、過度な圧力をかけない。
　・マイクロカプセルが全て壊れてしまい、後から擦ったときに香りが薄く感じられることがあります。